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vol.93 キム キョンジュン #11『スピード感のある攻撃的なプレーでチームを助け、サポーターを楽しませたい』

試合終了までの短い時間でもベストを尽くす

キム キョンジュン選手は昨年7月、シーズン途中にカタールのアル・ラーヤンSCから移籍。だが約半年の間に1試合しか出場することができずにシーズンを終えた。しかし、今シーズンはキャンプ中から練習試合でも良い動きを見せ、第8節レノファ山口FC戦からは毎試合出場を果たしている。
「昨シーズン、出場機会がなかったのは監督の求めるプレーにうまく応えられなかったからだと思っています。それだけに山口戦では途中出場ではありましたが、ホームでサポーターの皆さんに顔を見せることができてすごくうれしかったです。チームの苦しい状況が続いている中で起用してもらったことは、長島監督が自分を信じて投入してくれたということだと思いましたし、試合終了までの短い時間でベストを尽くさなければいけないと思って試合に入りました」

レノファ山口FC戦では途中出場後、岩尾選手のロングボールに飛び込み、持ち味のアグレッシブなプレーを見せた。
「結果につなげられなかったのが残念でした。自分が最も得意なのは左サイドで相手のディフェンダーと1対1で勝負して、相手を抜き去るプレーです。自分の特長であるスピード感のある攻撃的なプレーでチームを助け、サポーターも楽しませることが仕事だと思っています」

そして、5月3日に行われた第11節水戸ホーリーホック戦では、後半78分に途中出場。その直後に相手チームのディフェンダーを交わし、ロングシュートを放った。惜しくもキーパーに阻まれたが、その直後に岩尾選手のゴールをアシスト。持ち味であるスピードとパワーを活かしたプレーで、見事、ホーム初勝利に貢献した。

楽しみながらサッカーができたフランス

陸上選手として地域の代表(日本でいうと国体のような大会)に選出されるほどだった母親の影響もあり、小学5年生までは陸上選手だったというキョンジュン選手。出場していた陸上大会でサッカー部の監督に声をかけられたのがきっかけでサッカーを始めた。
「センターフォワード、サイドハーフなどをやりましたが、1対1の練習が多かったことを覚えています。相手チームの1人を抜いてアシストしたりするのが楽しかったです」

韓国では日本の部活にあたる学校でのスポーツ活動は少数精鋭で行われている。そのため、高校や大学への進学時も、自分の意思だけでサッカー部に入れるわけではなく、入部できるのは全国大会などで成績を残した選手のみとなる。
キョンジュン選手の通っていた中学校では、サッカーのレベルが高い生徒は伝統的に錦湖高校に進学していた。キョンジュン選手も錦湖高校に進み、卒業後はサッカーの名門である高麗大学に入学する。
「高校卒業後にプロになることも考えましたが、親の勧めで大学サッカーも経験しておくことにしました。大学1年生を終えた時からプロになることを目指していましたが、その時は大学の監督に反対されたんです。でも1年後にプロから誘いがかかったら行かせてもらうという約束をしました」

そして大学1年生の時にU-20に選出され、2011年にコロンビアで開催されたFIFA U-20ワールドカップでの活躍が多くのチームの目に留まることとなった。キョンジュン選手の活躍からヨーロッパにも人脈があるエージェントがつくこととなり、Kリーグだけでなくヨーロッパの複数のチームからも誘いがあったという。
「Kリーグにも興味はありましたが、ヨーロッパのリーグに入るのは難しいと聞いていたのでチャンスがあるのなら挑戦してみたいと思ったんです。そして契約の話が順調に進んだフランスのFCジロンダン・ボルドーに加入することを決めました。フランス南西部のボルドーに本拠地があるチームで、自分はプロ1年目で緊張していましたが、チェコ代表でキャプテンだったヤロスラフ・プラシール選手をはじめ他の外国籍選手などもいて楽しみながらサッカーができました。今ヴォルティスで一緒にプレーしているアレックス選手の友達(ジュシェ選手)ともチームメイトだったんです。最終的にケガをしてしまったことは残念でしたが、とても良い経験になりましたし、いつかもう1度、プレーしてみたいという気持ちもあります」

このチームに来てサッカーに対する考えが変わった

その後、フランスのSMカーンなどのチームを経て、カタールのアル・ラーヤンSCに加入。
「アル・ラーヤンSC は1部から2部リーグに降格になったばかりのチームだという情報があったので、初めはすごく迷いました。でもカタールでプレーしている友達に聞いてみたら、良いチームだからすぐに1部に昇格できるだろうと。実際に入ってみたら世界的に活躍している選手もいて、あのチームでプレーできたことはとても良い経験になりました。それ以来、どこでサッカーをやっているかではなく、どうやってサッカーをやっているかが大事なのだと思うようになったんです」

2015シーズン、ヴォルティスから加入のオファーがあった時、チームはシーズン前半を3勝で折り返し、厳しい状況が続いている時期だったが、そうした順位だけで判断することはなかった。
「エージェントからも順位は決して上ではないという話を聞いていたので、とにかくチームの助けになりたいという気持ちで日本に来ました」

憧れている選手として韓国代表だけではなくJリーグで活躍し、イングランドでは名門マンチェスター・ユナイテッドでもプレーしたパク・チソン選手(2014年に引退)、好きな選手としてクリスティアーノ・ロナウド選手(レアル・マドリード)の名前を挙げたキョンジュン選手だが、ヴォルティスでも影響を受けた選手がいるという。
「チソン選手は韓国のサッカーのレベルを引き上げたことに加え、京都パープルサンガ(現・京都サンガF.C.)でプロとしてのキャリアをスタートさせ、オランダ、イングランドなど、ヨーロッパのチームで活躍した選手だというのが理由です。ロナウド選手はどちらのサイドでもプレーでき、カットインのシュートも外からのシュートも打てるところがすごいと思っています。そして昨シーズン、ヴォルティスで大介選手(斉藤大介選手 現・栃木SC)に出会い、一緒にプレーをして、何歳になっても素晴らしい活躍ができるのだと気づかされたんです。さらに昨シーズン、今シーズンとトミさん(冨田選手)を見てきたことで、今は自分も長くサッカーをやっていきたいと思うようになりました。日本に来て、このチームに来て、サッカーに対する考え方が変わりましたね」

5月の連戦を終え、夏に向けて厳しい戦いが続いていく中、キョンジュン選手のさらなるチャンスメイクはもちろん、得点にも期待したいところだ。
「今、チームとしてもっと勝点が必要ですし、自分ももっと勝ちたいと思っているので、勝ちにこだわってやっていきたいです。もちろん監督の求めるプレーがありますし、自分はもっとチームの攻撃の助けになるプレーができると思っています。自分の一番の特長はスピードで、得意とするのは左サイドで張ってボールを受けて、そこで相手との1対1で仕掛けて勝負して得点につながるクロスを送ることです。シュートを決めることも大事ですが、味方の選手の攻撃が楽になるように、サイドでボールを持ったら仕掛けて決定的なボールを中に送ることが自分の一番の仕事だと思っています」

もっと勝ちにこだわっていきたい

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